床矯正とは?
床(しょう)矯正とは、床矯正装置を使用して歯列を拡大する治療法です。ネジ式の装置を取り付け、段階的にネジを締めることで歯列の幅を拡大していきます。
床矯正の使用方法
床矯正装置についているネジを締めると、スクリューが移動して装置を拡大できる仕組みです。成長段階に合わせて装置を少しずつ広げていき、永久歯がきれいに並ぶために必要なスペースを作ります。
ワイヤー矯正との違い
ワイヤー矯正と床矯正の違いは、取り外し可能かどうかです。ワイヤー矯正は、歯科医師でなければ取り外すことができません。一方、床矯正装置はご自身で取り外すことができます。
ただし、取り外し可能だからこそ装着時間を守らなければ治療期間が長引くリスクが高いと言えるでしょう。(1日12時間~14時間の装着が望ましいです。)
床矯正のメリット・デメリット
メリット
周りの人に気づかれずに使用できる
床矯正装置は取り外し可能なため、周りの人に気づかれずに使用できます。例えば、学校から16時に帰宅したとして、そこから装着を始めれば翌朝の6時で14時間となります。食事の時間を差し引いても、7時には14時間に達するでしょう。
永久歯を抜歯せずに済む可能性が高まる
成人矯正では、顎の骨のスペースが不足している場合は抜歯が必要になります。小児期の床矯正は、顎の成長を促すことで、歯がきれいに並ぶために必要なスペースを確保する治療です。床矯正を受けることで、成人矯正で抜歯をせずに済む可能性が高まります。
痛みが少ない
床矯正は、成長過程にある顎の骨にアプローチするため、強い力をかけずに歯列を拡大できます。それだけ痛みを抑えられるため、お子さまにも受けていただきやすいでしょう。また、顎の骨が軟らかいため、矯正治療によって変化した咬み合わせに順応しやすい点もメリットです。
むし歯を予防しやすい
ワイヤー矯正は、取り外し不可能な装置を使用するため、普段よりも歯磨きが難しくなります。その結果、むし歯や歯周病のリスクが高まります。床矯正では取り外し可能な装置を使用するため、歯磨きのときに取り外すことで、これまで通りに歯磨きができます。
デメリット
歯列が完全に整うわけではない
床矯正は顎を広げることを目的としており、歯並びをきれいに整えることはできません。あくまでも、永久歯をきれいに並べるためのスペースの確保が目的です。そのため、床矯正を行っても、永久歯が生えそろってから矯正治療が必要になる可能性があります。しかしながら、抜歯が不要になる可能性が高まる、治療期間の短縮などのメリットがあるため、床矯正を受けた方がよいという事実に変わりはありません。
装着時間を守る必要がある
床矯正装置は装着時間を守らなければ十分な効果が発揮されません。治療期間が長くなったり、十分な効果を得られなくなったりする恐れがあります。そのため、ご本人のモチベーションとご両親の協力が必要です。治療期間には個人差があり、数ヶ月~数年かかります。
永久歯を抜歯する可能性がゼロになるわけではない
床矯正によって将来的に抜歯を伴う矯正治療が不要になる可能性が高まります。しかし、絶対に抜歯を免れられるとは限りません。例えば、遺伝的要因が大きい受け口、上顎の突出などのケースでは、床矯正を受けても抜歯が必要になる可能性が否定できません。